心臓の大きさは成人では握りこぶし大ほどで、1日約10万回伸び縮みして全身に血液を送り出します。
胎児の時から1日も休まず動き、一生で28億回動き続けるので非常に多くのエネルギーが必要なわけです。
そのエネルギー供給源が心臓の周囲を取り囲んでいる冠動脈と呼ばれる心臓の出口(大動脈起始部)から分岐しています。
血管径は5mm程度で心臓の先端に行くほど細くなっていきます。
これが心筋全体に張り巡らされており心臓の筋肉(心筋)に血液とともに酸素や糖分などを供給しています。
この冠動脈が高血圧症、糖尿病、脂質異常症などで動脈硬化が進行し、血管の内腔が狭くなると心筋への血液供給不足が生じ狭心症が起こります。
運動時などの胸痛、胸部圧迫感、のどの詰まる感じ、背部痛、腹痛、歯痛などの症状が認められますが、無症状の場合もあります。
糖尿病で神経障害を合併している場合、狭心症が起こっているにも関わらず症状を感じないことがしばしば認められ、受診や検査が遅れて重傷化してしまうこともあります。
一般的な狭心症の場合は安静により15分程度で症状が消失する場合があり、再現がみられます。
また、冠れん縮性狭心症(異型狭心症)と呼ばれ、冠動脈狭窄はなくてもストレスなどで冠動脈の一部が収縮(れん縮と呼ばれます)することで血液の流れが遮断され心筋への血液供給不足となり同様の症状が出現する場合がありあります。これは日本人に多いことが指摘されています。
さらに、心筋梗塞では冠動脈が閉塞し心筋への血液供給が遮断され心筋が壊死(心筋の細胞が死んでしまう)するため、安静でも改善しない強い胸部症状が認められます。ただし糖尿病合併などで無症状の場合もあります。
狭心症の評価は症状の有無、心電図の変化、心臓エコーでの心機能評価などで行いますがこれらで明らかな異常が出ない場合もあり、疑われる場合は運動負荷心電図、心筋シンチグラフィー、冠動脈CTを行い最終的には心臓カテーテル検査で冠動脈狭窄の評価を行います。
また、冠れん縮性狭心症はカテーテル検査で冠れん縮の誘発試験を行い判定します。
冠動脈狭窄がある場合は、狭窄の部位、数、程度により薬物治療、カテーテル治療、冠動脈バイパス手術を選択することになります。
当院では心電図、心エコーを行い、必要に応じて循環器専門病院へご紹介し病診連携を行っております。
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